身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意
2019年5月30日 独立行政法人国民生活センター 発表資料より
近年、高齢者の単独世帯が増加傾向にあるなか、高齢者を対象とする、身元保証や日常生活の支援、死後事務等を行うサービス(以下、「身元保証等高齢者サポートサービス」と言います。)が広まってきています。
一方で、こうした身元保証等高齢者サポートサービスをめぐり、全国の消費生活センター等には「契約内容をよく理解できていないにもかかわらず、高額な契約をしてしまった」等の契約時のトラブルのほか、「解約時の返金額に納得できない」等、解約時のトラブルについて相談が寄せられています。
本資料における「身元保証等高齢者サポートサービス」は、一人暮らしの高齢者等を対象とする、身元保証や日常生活支援、死後事務等に関するサービスのことをいう。具体的には、医療機関への入院や老人福祉施設等への入所、賃貸住宅等の契約の際の身元保証・身元引受等のサービスや、買い物等の日常の生活支援や見守り支援、死後の葬儀支援等のサービスが行われている。 |
相談事例
【事例1】預託金として100万円を支払うように言われているが、詳細な説明がない
頼れる親族がいない中、知人から紹介されて、身元保証等高齢者サポートサービスを行う事業者とサポート契約をした。費用を支払った記憶があるが、その他に預託金として100万円を支払うように求められた。契約内容など、その詳細について理解できていなかったこともあり、更なる高額な預託金の支払いを躊躇(ちゅうちょ)していたところ、担当者から「明日どうなるか分からない。一刻も早く預託金を支払うように」と急がされた。詳細な説明もない中で、このような事業者の対応に困惑しているが、どうしたらよいか。(60歳代 女性)
【事例2】約束されたサービスが提供されないので事業者に解約を申し出たところ、説明のないまま精算された
入居していた老人ホームから高齢者住宅に転居することにした。身元保証人がいないため転居できないでいたところ、知人に身元保証等高齢者サポートサービスを行う事業者を勧められた。事業者には「定期的な安否確認等を行うため緊急時の対応もスムーズにできる」と言われ、140万円を支払って契約した。契約から1年程経つが定期的な安否確認がなかったり、緊急対応のために必要な書類が一向に作成されなかったりするなど、事業者に不信感が募ったため、解約を申し入れた。解約は承諾されたが返金額について事業者から何らの説明もないまま、50万円だけが振り込まれた。十分なサービスも受けていないにもかかわらず、納得できない。(70歳代 女性)
相談事例からみる問題点
1.サービス内容や料金等を理解できていないまま契約している
2.約束されたサービスが提供されないことがある
3.解約時の返金をめぐってトラブルになることがある
消費者へのアドバイス
★自分の希望をしっかりと伝え、サービス内容や料金等をよく確認しましょう
・身元保証等高齢者サポートサービスを契約する場合は、まず自分がどのようなサービスを望んでいるのかを事業者にしっかりと伝えましょう。
・提供されるサービスの内容や条件(どのような場合にどのようなサービスが受けられるか)、料金体系(いつ、いくらを、どのサービスに対して支払うのか、支払うことになる総額)等をよく確認しましょう。
★預託金等の用途や解約時の返金に関する条件について予め確認しておきましょう
・契約時に預託金等を支払う必要がある場合には、その金銭の用途や目的・管理方法などについて契約前に確認しておきましょう。
・解約時の返金の有無や条件を確認し、不明な点があれば事業者に十分な説明を求めましょう。
・契約内容がよく分からなかった場合や、事業者に契約を急がされた場合でもその場で契約せず、周囲の人に相談するなどして十分に検討しましょう。
★契約内容を周囲の人にも理解してもらうよう心がけましょう
・万が一の時に、自分の代わりに親族や周囲の人が迅速に入院等の手続きを進めることができるよう、契約しているサービス内容や事業者の連絡先を伝えておいたり、分かりやすいところに掲示しておいたりしましょう。
★契約や解約に際しトラブルになった場合にはすぐに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう
・消費者ホットライン:「188(いやや!)」番
※参考資料:厚生労働省、消費者庁による発表情報「身元保証等高齢者サポート事業に関する調査でまとめられた啓発資料」
『「身元保証」や「お亡くなりになられた後」を支援するサービスの契約をお考えのみなさまへ』
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_018/pdf/caution_018_180905_0001.pdf
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