高齢者が支払えなくなるまで次々に販売するSF商法
-支払い金額の平均は170万円にも!-
2015年5月21日 独立行政法人国民生活センター 発表資料より
会場等に人を集め日用品等をただ同然で配って雰囲気を盛り上げた後、高額な商品を購入させる「SF商法」の次々販売、過量販売に関する相談件数が増加しています。
契約当事者は高齢者が中心で、70歳以上が約8割。性別では、女性が8割を占めています。支払った金額の平均は170万円にもなり、中には、老後の資金を崩してまで商品を購入する高齢者の例もあります。
最近では、数カ月以上と長期にわたって販売会を開催し、無料や安価に販売される日用品を目当てに会場に通い続ける高齢者に対し、販売員が個別に声を掛けて高額な商品の購入を勧めるといった手法も見られるようになりました。この手法では、長期間開催されているために高額な商品を次々に購入し、支払いに不安を感じるようになってから、高齢者や周囲が次々販売に気付く例が目立ちます。
相談事例
【事例1】無料の商品を目当てに通っていたら2カ月で500万円以上契約していた
【事例2】4年間にわたり、500万円以上のサプリメントを購入した
【事例3】チラシを見て健康講座に通い、体に良いという健康食品を購入した
【事例4】物忘れが激しい母を業者が車で迎えに来て、次々販売していた
相談事例からみられる問題点
1. 高齢者を粗品配布や楽しい話で会場に集め、長期的に会場に通い続ける中で高額な商品を次々に販売しようとする。
2. 高齢者が支払い困難になるまで過量に販売する。平均支払い金額は100万円を超える。
3. 判断能力が十分ではないと思われる消費者に販売している例もある。
4. 周囲の人は心配しているが、高齢者からの訴えは少ない。
消費者へのアドバイス
★高齢者の方へ
1. 安易に会場に近づかないこと。勧誘されても不要な商品の購入はきっぱり断りましょう。
2. 大切な老後の資金を取り崩してまで購入が必要か考えましょう。
★家族や周囲の方へ
高齢者に寄り添った話し合いを心掛けてください
1. 高齢者の話を頭ごなしに否定したりせずに、高齢者の話に耳を傾けましょう。
2. 認知症の場合には、成年後見制度の利用も検討しましょう。
★トラブルになった場合には消費生活センターに相談しましょう
[参考]
立正大学 心理学部 西田公昭 教授のコメント
本人に被害意識がなく生活苦になるまで購入を続けている場合、周囲はどう接したらよいか
被害に気づかせることは大変難しいことだが、非難めいた態度を避けて、温かな関係を築いてから、本人の出来上がったリアリティーを崩す必要がある。①商品を査定に出すなどして相場観を知らせる、②なるべく類似の具体的な被害事例を知らせ、③事業者の親切さは販売のためのものであるということを気付かせることが重要である。 その際に働きかける側の態度が重要である。高齢者が何カ月も会場に通っている場合、会場での信頼と受容の人間関係が出来上がっており、ケースによるが、家族からの問題の指摘は、たとえ善意であっても「叱られている」と感じる高齢者もいる。「叱られている」と思うと、高齢者は被害を隠したり、相手事業者のことを「何も知らない人に批判されたくない」などと反発して事業者をかばったりする行動にでることもある。 こうした高齢者を説得するにあたっては、高齢者の判断を頭ごなしに否定するのではなく、当人自らが、「もしかしたら被害にあっているかも知れない」といった疑念をつくりあげることが大切である。家族などとの自尊心を傷つけないように気配りしながらの話し合いで、疑ってみようとする動機づけがなされた上で、「他の人の話も聞いてみない?」などと、消費生活センターなどの専門情報を提供できる第三者につなぐよう働きかけることも一案である。つまり、家族と第三者との連携をはかり、事前に協議して役割を決めて準備を整えて、戦略的に介入しないと失敗する場合も少なくない。 また、金銭的なトラブルが解決した後も、再び会場に通うことがないように、会場に通った事情に応じたケアも必要になるため、継続的な見守りが必要である。 |
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