見守りの力で解決!高齢者の消費者トラブル
~実際にあった事例を紹介~ Vol.2
高齢者等の消費者被害は、本人が被害に気づいていない場合も多くみられます。被害救済等のため消費生活相談窓口につなげるには、日頃から高齢者等に接していらっしゃる方の協力が必要です。
実際に福祉関係の方が被害に気づき、消費生活センターへ相談したことによって、高齢者等の消費者被害を解決できた事例を紹介します。
(平成28年3月15日「高齢者等見守り研修」にて、講師の広島市消費生活センター消費生活相談員、寺本ひとみさんより紹介された事例です)
事例② 介護保険の要支援者が訪問販売で高額な低周波治療器を契約したことが発覚。年末年始で業者と連絡が取れずクーリング・オフ通知を出したが、今後の対応を教えてほしい。
[相談者] ケアマネジャー
[契約者] 60代 男性
[商品名] 低周波治療器
[相談内容]
・年末に介護保険の要支援者宅に訪問販売業者が来訪し、家庭用医療機器(低周波治療器)の購入を長時間にわたり勧誘された。本人はお金を払ったら帰ってくれると思い、緊急時にとっておいた現金10万円を頭金として支払ったという。残金は1月8日に集金に来ると言われている。
・本人が民生委員に連絡され、民生委員から地域包括支援センターに連絡があり自宅に行って契約書面を確認した。12月28日から1月4日までがクーリング・オフ期間と記載があったため、業者に電話をかけたがこの期間中は休みとのテープ案内が流れた。本人にクーリング・オフ通知を書いてもらい手続きをした。
・業者に通知を出したが、本社にも出す必要があるか、また、商品はどこに返却したらよいか。
[解決結果]
・訪問販売でのクーリング・オフは、契約者が解約する旨を記載した書面(はがきでも可)を発信した時点で効力が発生するため、事業者が休みの日でもできる。具体的には事業者から契約書を受領した日から起算して8日以内の消印で書面を特定記録郵便等で発信すれば、事業者に届くのが9日以降であっても有効であることを説明した。
・年始の営業再開後、センターから業者に電話し、クーリング・オフ通知を郵送したこと、本人から今後は電話勧誘や訪問販売を当該消費者に対し行わないでほしいという申し出があったことを伝えた。
・業者から、「頭金10万円は近日中に現金書留で返金する、商品は段ボールに入れ、書類一式を同封し着払いで返送してほしい」と回答があり、その旨、相談者に伝えた。
・後日、契約者本人から、「現金書留が届き、民生委員とケアマネジャーと一緒に商品を着払いで返却する」と報告があった。
『高齢者本人から身近な民生委員に』⇒『民生委員から地域包括支援センターに』⇒『地域包括支援センターから消費生活センターに』、と関連機関との連携によって解決できた事例です。
高齢者等、特に判断能力・理解能力が衰えている方の場合には、身近な方の協力がなければ消費者被害に気づくことも解決することも難しいのです。高齢者等に身近な皆様には、普段の暮らしの中で交流をはかり、様子を気にかけてあげてください。