県内の活動紹介 〜地域や関係者の取組〜
呉市消費生活センター・呉市中央地域包括支援センタ- 合同研修会
「地域の見守りネットワークを目指して」が開催されました
平成29年1月27日、呉市役所で、呉市消費生活センターと呉市中央地域包括支援センタ-との共催による合同研修会が行われました。今回の合同研修会では、高齢者と日常的に接する機会の多い地域住民の方(自治会関係者・民生委員児童委員)、介護サービス事業所の方、担当行政の方等、約70名が参加され、消費者被害の発見から相談窓口への通報や連携方法について、被害の未然防止や早期発見につながる地域の見守り力の向上やネットワーク構築の必要性について学ばれました。
◆「特殊詐欺の発生状況と対策」
講師 呉警察署生活安全課 前田嘉典さん
平成28年の広島県内の特殊詐欺認知件数、被害額はともに平成27年に比べ減少しているものの、依然として多くの被害が発生している。
特に被害の多い手口は、契約した覚えのない商品やサービスを契約したかのように見せかけ、架空に請求し金品をだまし取る「架空請求詐欺」、役所などを名乗り医療費等の払い戻しがあるとATMへ誘導し、結果的に振込をさせる「還付金詐欺」、息子や孫を名乗る「なりすまし詐欺」等である。
年齢別被害状況では70代女性が最も多い。
高齢者が狙われているため、年金支給日には、あやしい電話がよくかかってくるので注意が必要。
☆かしコイオトナの7つの心得の紹介
1. いらない時は、きっぱり「いりません」と断る。
2. うますぎる話は、疑ってかかる。
3. 相手の親切な態度に惑わされない。
4. 業者を簡単に家の中に入れない。
5. 個人情報を明かさない。
6. その場ですぐに契約せず、誰かに相談する。
7. 日頃から悪質商法などの情報に関心を持つ。
☆出前講座のお知らせ
呉警察署では出前講座を行っている。呉警察署管内で活動する10人以上の団体、グループを対象に、特殊詐欺の手口や防止策などの防犯情報を分かりやすく説明する。
自治会や老人会の集まり、サークル活動等に活用して欲しい。
受付:呉警察署生活安全課 ☎ 0823-29-0110
◆グループワーク
「高齢者の消費者被害防止にむけて」
地域、職種等を勘案し、様々な立場で意見交換ができるようグループ分けを行い、事例をもとにグループワークを行う。
☆事例「訪問販売による家の耐震リフォーム」
相談者:60代男性(県外在住、弟)
契約当事者:80代男性(独居、兄)
相談内容:兄の家を訪ねたところ「『瓦が割れているようだ。無料で点検しましょうか』と業者が訪ねてきて、無料ならと思い点検してもらったところ、補修工事が必要なことがわかり契約を承諾し、工事完了後に600万円を現金で支払った」と言う。
領収書はあるが、契約書は見つからない。
兄は認知症もないようなので介護保険の申請もしていない。
兄に工事の内容を確認したが、何も覚えていなかった。(床下や屋根裏は換気扇だらけだった)
☆「事例の兄弟があなたの知っている人だったら」と考えてグループワークを行う
① 課題分析を行う
「事例の兄はなぜ被害にあったのか」
それぞれの立場で思ったことを付箋に書き、模造紙の「課題」の欄に貼る
② 解決手段を考える
「どうすれば被害を防げたのか(高齢者の消費者被害をどうすれば防げるか)」
費用や手間など実現は難しいと思われることでもかまわないので、付箋に書き、模造紙の「解決手段」の欄に貼る
③ 解決手段を各立場に振り分ける
②で考えた「解決手段」の付箋を各立場(1)~(4)に振り分ける
(1) 行政(市、県、国、警察、消防署等)
(2) 各種団体・組織・機関(医療機関、包括、事業所、ボランティア等)
(3) 地域(近所、自治会、民生委員、商店、新聞販売所等)
(4) 本人・親族
※それぞれの立場からの意見を活発に出し合い、たくさんの付箋が模造紙に貼られていく。
☆グループごとに発表を行う
①課題分析「なぜ被害にあったのか」
・知識がない
・判断能力が低下している
・自分が被害にあうと思っていないため警戒心がない
・地域との関係が希薄
②③解決手段について「どうすれば被害を防げるのか」
[行政]
・関連機関が密に連絡を取り、見守りネットワークを構築する
・悪質業者にもっと重い罰を与える
・警察が戸別訪問をして注意喚起をする
・有線放送を高齢者宅に取り付ける
・パンフレットの配布、回覧、相談先の周知
・情報共有が必要
[各種団体・組織・機関]
・金融機関で多額のお金をおろす時には家族に連絡をする
・ケアマネジャーが周りを巻き込むケアプランを作成する
・サロンで啓発を行う
・情報共有が必要
[地域]
・新聞配達、宅配、配食サービス等の業者と連絡をとれるシステム作り
・地域の見守りを強化する
・回覧板や自治会だよりで注意を呼びかける
・自治会長の名刺を置いておく
・情報共有が必要
[本人・親族]
・家族がまめに連絡を取る
・社協等でお金の管理をしてもらう(金銭管理支援サービス「かけはし」)
・ナンバーディスプレイや留守番電話の活用
グループワークでは、たくさんの意見が出されました。その中でも、関係機関との連携、情報共有の必要性が多く取り上げられていました。見守りネットワーク作りの必要性を皆が感じているようです。
今回の合同研修会は、呉市消費生活センターと呉市中央地域包括支援センタ-との2度目の共催になります。参加者の方々には、顔の見える情報交換の場となり、横のつながりを広げる場ともなりました。このような取組の積み重ねが地域全体で高齢者等を見守るネットワーク作りへとつながっていくことを期待します。