県内の活動紹介 〜地域や関係者の取組〜
広島県社会福祉協議会の取組紹介
広島県社会福祉協議会では、高齢者等の消費者被害防止モデル事業「ご近所サロン de 詐欺防止」として、「ふれあいサロン」(高齢者等の身近な集まり場)で消費者被害や特殊詐欺の情報を口コミで受発信し、相談し合える関係づくりとして、相談できる人「お頼りさん」づくりに取り組んできました。また、関係機関が関わることで、消費者被害等の予防・早期対応を効果的に行う仕組みをつくることをめざしています。
広島県社会福祉協議会 地域福祉課の担当の方に、高齢者等の消費者被害防止モデル事業「ご近所サロンde詐欺防止」について、ご紹介いただきます。
「ご近所サロン de 詐欺防止」事業について
◆消費者被害等の予防・早期対応を効果的に行う仕組み
近年、地域社会で世帯の核家族化、独居化がすすみ、住民同士のつながりが薄れている中、高齢者をねらった消費者被害等にあいそうになった時、誰にも相談できず、一人で判断せざるを得ない状況にある高齢者も少なくありません。一方、被害を免れた人は、身近な人からの口コミ等による情報が得られたことや、身近に相談者がいたことが被害を未然に防いだ要因の一つとしてあげられています。
そこで、広島県社会福祉協議会は、消費者被害等の予防・早期対応を効果的に行う仕組みをつくることを目的とし、民生委員・児童委員、住民自治組織、サロン世話人、行政、警察署、消費者団体等と連携し、県内の「ふれあいサロン」(高齢者等の身近な集まり場)を拠点とした、消費者被害に関するアンケート・研修会、お頼りさん(相談できる人)づくり等を県内の4市町社協(三原市、東広島市、安芸高田市、坂町)で実施しました。(平成26年度)
◆取り組みの実績・効果
実施したアンケート(回答人数:1,357人)からは、回答した高齢者の約半数に、訪問や電話による依頼・勧誘や強引な商法を受けた経験があり、消費者被害の拡大・未然防止には、情報交換・交流機会を増やすことが有効であるとわかりました。
研修会では、ご近所さんが集うサロンの場(全56か所)で、警察署員や行政職員(消費者行政担当部署)と顔を合わせて話しながら、被害状況や防止策を知ってもらいました。また、ふれあいサロンの「情報受発信」の機能を活かし、研修会で得た情報は、参加者から近所の友人や家族に、口コミで拡げてもらいました。
実際に、詐欺と疑われる電話等を受けたときにも、サロン研修会での啓発や「お頼りさん」づくりによる相談できる人がいたことで、被害を未然に防ぐことができた実例があったことは大きな成果です。
また、被害防止にかかる啓発をそれぞれに行っていた関係機関に、横のつながりができたことも、本事業の効果です。
◆“誰もが安心して暮らせる地域づくり”に向けて
巧妙な手口にかからないためには、情報や知識を得ておくこと、そして、何かあった時には、一人で判断せず、身近な誰かに相談することが大切です。しかし、何でも相談できる関係は、すぐにできるものではありません。日頃からの関係づくりが不可欠であり、こうした関係づくりをすすめる取り組みのひとつとして、身近で自然な交流の場であるサロンが有効です。顔なじみの関係になり、同じ時間を過ごすことで、気にかけ合い、相談し合える関係が生まれていきます。
「地域の誰もほっとかない」そんな機運が高まっていくよう、社協として、引き続き住民と共に、支え合いのつながりを幾重にも紡ぐ取り組みを継続していきたいと考えています。
それが“誰もが安心して暮らせる地域づくり”につながります。
広島県社会福祉協議会 地域福祉課