「保険金を使って住宅を修理しませんか」がきっかけでトラブルに!
-高齢者からの相談が増加しています-
2018年9月6日 独立行政法人国民生活センター 発表情報より
「火災保険などの損害保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」「保険金が出るようサポートするので住宅修理をしないか」など「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスに関する相談が多く寄せられています。
相談事例
【事例1】申込時に手数料に関する説明がない
突然事業者が訪れ「風水害や雪害などが原因で家屋に壊れたところはないか。損害保険で負担なく修理ができる。当社で見積もりを出し、保険適用されれば保険金が出る」と言われたので、数年前の大雪でベランダの屋根がゆがんだことを話した。後日その事業者の調査員が来ると言われ、申込書にサインした。
その後、契約している保険会社に問い合わせてみたら「あやしい話ではないか」と言われ、心配になった。申込書をよく見たら「保険会社に認定された保険金額が、見積金額より大幅に減額され修理工事が困難な場合は、30%の手数料を払う」と記載されていた。30%の手数料の話は聞いていないし、保険金額によって修理工事をするかどうかが決まるのも不審なので、この事業者への申し込みをやめたい。(70歳代 女性)
【事例2】うその理由で保険金を請求すると言われた
「保険適用で住宅修理」というチラシがポストに入っていた。数日後、チラシの事業者が訪問してきて「雨どいが一部破損しているので、保険を使ってすべて交換してはどうか。雪害、風水害で破損した場合は保険適用になるので費用負担なしで交換できる」と言われた。雨どいの破損は自然災害ではなく経年劣化だと思うし、破損は一部なのにすべて交換というのはおかしい。そのことを事業者に伝えると「保険の申請のとき、私どもでうまくやるので大丈夫」と言われた。そのようなことをすれば保険金詐欺になるのではないか。(60歳代 男性)
【事例3】修理の必要がないのに、不具合があるかのように言われた
近所で屋根工事をしているという男性が突然訪れ「天井の方から何か音がしませんか」と言われた。何のことかと思ったら「お宅の屋根の板金がはがれて浮いているのが見えた。屋根に上って写真を撮っておきます」と言い、屋根に上がっていった。すると「屋根の銅板や板金の下の木が朽ちてきている。損害保険に入っているなら保険金を使って修理できる」と言われたが、家族と相談するとしてその場では契約しなかった。その後、住宅修理業に詳しい知人に屋根を見てもらったら「板金がはがれて浮いていると指摘したところは、屋根に上ったときにねじを抜いたようだ。ねじを締めれば問題なく、今すぐ修理が必要なところはない」と言われた。(30歳代 女性)
相談事例からみる問題点
★自己負担がないことを強調し、契約の内容や手数料・違約金の説明が不十分
★見積もりと違う工事をされたり、修理内容がずさんなことも
★保険会社にうその理由で保険金請求が行われている
★屋根に細工をしたり、クーリング・オフをさせないようにしたりする悪質な場合も
消費者へのアドバイス
(1)「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約をしないこと
契約をする際は、請求サポート手数料の有無、キャンセル時の違約金など、住宅修理工事契約や保険金請求サポート契約の内容について、事業者へ確認することが重要です。修理が必要ではない場合は、きっぱりと勧誘を断るようにしましょう。
(2)保険契約の内容や必要書類を確認し、まず保険会社に相談すること
保険金が支払われるかどうかは、保険契約の内容や実際の損害の有無や損害発生の原因によります。まずご自身が加入している保険契約の内容や損害の内容について確認し、契約をしている保険会社や代理店等に相談するようにしましょう。
(3)うその理由で保険金を請求することは絶対にやめること
建物の損傷の原因を経年劣化であることを知りながら、原因は自然災害などの事故であるとするなど保険金の請求がうその理由によると判明した場合、保険契約が解除される可能性や支払われた保険金の返金を求められる可能性があり、場合によっては刑事罰(詐欺罪)に問われる可能性もありますので絶対にしないでください。
(4)不安に思った場合やトラブルになった場合は早めに消費生活センター等に相談すること
訪問販売や電話勧誘販売で契約をした場合は、クーリング・オフができる場合があります。「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスについて、不安に思った場合やトラブルになった場合には、早めに最寄りの消費生活センター等に相談ください。
消費者ホットライン:「188(いやや!)」番
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