アダルトサイトとの解約交渉を行政書士はできません!
2015年5月14日 独立行政法人国民生活センター 発表資料より
国民生活センターおよび全国の消費生活センター等には、アダルトサイトに誤って接続して料金等を請求されている、アダルトサイトの料金を支払うようメールが来たといった相談が、毎年一番多く寄せられています。最近の特徴として、スマートフォンでアダルトサイトに接続してしまうケースも増加しています。そうした消費者が、消費生活センターに相談しようとしてインターネットで検索した結果、本来は業務としては行うことができないアダルトサイトとのトラブル解決をうたっている一部の行政書士(※1)に救済を依頼し、費用を請求されたという相談が2014年度に急増しました。
消費生活センターに似せた名前で相談窓口を運営したり、広告を出しているケースもあります。
※1 行政書士法に基づき、主に官公署に提出する書面や契約等にかかる書面等の作成を行う資格。
相談事例
【事例1】消費生活センターで検索して上位に表示された行政書士に救済を依頼してしまった
スマートフォンでアダルトサイトに誤って接続して料金を請求された。慌ててインターネットで「消費生活センター」で検索し、画面の上位に表示された相談窓口に電話した。行政書士の事務所のようで、「4万円で、サイトに知られた個人情報を削除してあげる」と言われた。事務所の担当者に言われるまま、写真に撮った健康保険証の画像を送信してしまった。
【事例2】アダルトサイトの登録を削除するという行政書士に4万円払ってしまった
スマートフォンでアダルトサイトにアクセスし、年齢確認の18歳以上をタップしたところ、料金を請求された。インターネットで相談窓口を検索し、見つけた法務事務所に電話をしたところ、「クーリング・オフはできないが、登録情報を4万円で削除してあげる」と言われた。指示された通り、コンビニで申込書面をFAXで受け取り、記入してFAXで送り返し、4万円を振り込んだ。書面をよく見てみると行政書士に依頼したが、アダルトサイトの削除はできるだろうか。
相談事例からみるトラブルの特徴
1. 行政書士が「返金請求」や「解約交渉」等を行うことは、弁護士法に違反している可能性が高く、またそもそも行政書士に解約交渉等を行うことは認められていません。しかしインターネットで検索して見つけた行政書士のホームページに「スピード解決」、「お金は取り戻せる」といった記載があるため、消費者は行政書士に依頼すれば、消費者が自分のトラブルを解決できると、誤認しています。さらに、行政書士から「個人情報を削除できる」、「請求をとめる」等の、アダルトサイトとのトラブル救済を依頼できるかのような説明を受けているケースもみられます。
2. インターネットには、検索した言葉に応じて表示される「リスティング広告」という広告サービスがあります。インターネット検索で表示される検索結果と広告欄の違いに気づかず広告を閲覧してしまい、公的な消費生活センターに相談するはずが、行政書士に相談し解決費用等を請求され、事例によっては支払ってしまっています。多くの事例では、3万円から4万円を請求されています。
消費者へのアドバイス
1.まず、アダルトサイト業者に決して連絡をせず、請求されても支払わないでください。そして、相談するために自分が見つけた窓口が、消費生活センターなのか行政書士なのかをきちと確認し、解約や解決をうたう行政書士とは契約しないようにしましょう。行政書士はアダルトサイト等に対しての文書の作成やその相談を受けることはできますが、弁護士等が行うようなアダルトサイト等との解約交渉はできません。
2.インターネットで検索する際には、検索結果とインターネット広告が両方表示されることについて認識しましょう。「消費生活センター」を検索する際には、本当に消費生活センターか確認しましょう。心配な場合は最寄りの消費生活センターの連絡先を携帯電話やスマートフォンに登録する、手帳に書いておくなどして、あらかじめ控えておきましょう。
消費者に最寄りの消費生活相談窓口を案内する、消費者ホットライン(0570-064-370)をご利用いただくのも一つの方法です。
3.公的な相談窓口である、自治体が設置している消費生活センター等では、相談に際して電話料金等以外の費用が発生することはありません。「解決に必要」、「個人情報を消す」などと言われ、費用を請求されたら、それは公的な消費生活センターではありません。困った際には、公的な消費生活センターかをきちんと確認した上で相談しましょう。
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