県内の活動紹介 〜地域や関係者の取組〜
世羅町にて「高齢者等見守り研修」が開催されました
1月8日、甲山保健福祉センターにて、世羅町の民生委員児童委員協議会の研修会として、「高齢者等見守り研修」が開催されました。
講師に福山市消費生活センターの花本のぞみさんをお迎えして約70名の方々が参加されました。
「みんなで見守り、悪質業者を近づけない」
(講師 福山市消費生活センター 消費生活相談員 花本のぞみさん)
平成25年度の県内の特殊詐欺の被害状況は約10億5900万円。これは、広島県警が認知している数字なので、実際の被害はもっとたくさんあると思います。平成26年度は更に被害が増えています。
特徴は、被害者に高齢の女性が多く、被害額も高額であることです。
◇なぜ特殊詐欺や悪質商法の被害にあうのか
・オレオレ詐欺等、だます方は、個人情報を用意してシナリオ、問答集などの、事前準備をしっかりしています。それとは反対に、普段通りに暮らしている、心の準備ができていない皆様のところに電話はかかってきます。それは、大切な息子や孫をかたって「不倫相手を妊娠させてしまった」「会社のお金を横領した」などと、恥ずかしくて人には言えないような内容で「相手に払う示談金が必要だ」「横領が会社に知られると困る」と、お金を急いで送らせようと、冷静に考える時間を与えず、頭の中をパニックにさせます。ここで、冷静になって「誰かに相談する」「本人に確認する」ことができれば被害をくい止めることができます。ですから、お金の話が出た時は冷静にならないといけません。
・高齢者の家に来る訪問販売員や電話をかけてくる人は、すごく感じが良く、優しく丁寧です。中には、何度も家を訪ねて来たり、電話をかけてきて人間関係を作り、たとえ無理してでも「助けてあげたい」と情に流されて、被害にあっていることに気づかないまま、契約してしまいます。このような場合は被害額が高額になります。
・家族と一緒に住んでいれば、「こんな電話があったんよ」と話すことができ、被害の未然防止ができることも多いのですが、一人暮らしや高齢者だけの世帯では、人と話す機会も少ないため、民生委員の皆様がお話をされる時には、高齢者の方の様子に気をつけてあげてください。
◇劇場型投資詐欺の寸劇
参加者の方に、騙し役と騙され役に扮していただき、劇場型投資詐欺の「老人ホーム入居権」の寸劇をしていただきました。
寸劇では、人のいい高齢者が、老人ホームの入居権の名義貸しを承諾したために、「罪になる。犯罪者になる」と脅され、現金を宅配便で送ってしまいました・・
・お金を払ってしまうと、被害金を取り戻すことは難しく、未然防止がとても大切です。
未然防止のためには、普段から新しい情報に興味を持っていただき、「こういった手口が多いらしいけど、こんな電話ありますか?」などと高齢者の方に聞いてあげてください。
◇声をかける時の注意点
・重要なことは、高齢者の方の「プライドを傷つけてはいけない」ということです。その方の気持ちに添ってあげてください。
・元気がなさそうだったら、「風邪でもひかれましたか?」「今日はどこにいかれますか?」などと声をかけてあげてください。
具体的に困っていることが分かった時には、「騙されている」「絶対やめないとダメ」などと言うと信頼関係が壊れてしまうので、「そうなん。そうなん。」と話を真剣に聞いて、現状の全体像が見えてきたら、「こんな話を聞いたことがあるよ」「消費生活センターに相談してみたらどう」と、相談窓口へつなげてください。
◇消費生活センターへの相談
・相談は契約者本人からお受けするのが原則です。
「代わりに相談して」と頼まれたときは、契約者本人に隣にいてもらい電話をかけたり、一緒に消費生活センターに来ていただき、契約者本人と直接相談員が話をすることができるようにしてください。
・消費生活センターに来られる際は契約書やパンフレット等を持ってきてください。また、買った商品は未開封か、開封していくつ使ったのか等を確認しておいてください。
・ただし緊急の場合には、遠慮なく、直接消費生活センターに連絡をしてください。消費生活センターは個人情報を守ります。本人からの電話でなくても情報提供や助言ができます。
◇クイズ「クーリング・オフ出来るでしょうか?」
1. 化粧品3点のうち1点を使った
⇒使用していない2点はクーリング・オフが可能
・化粧品は法律で指定された消耗品にあたるので、未使用でないとクーリング・オフが出来ない。法律で指定された消耗品は(8品目・・①健康食品、②化粧品、③配置薬、④履物、⑤壁紙、⑥コンドーム・生理用品、⑦防虫剤・殺虫剤等・防臭剤、⑧不織布・織物)
2. 使用した布団
⇒使用してもクーリング・オフが可能
・布団類は法律で指定された消耗品ではないため、使用していてもクーリング・オフが可能
3. 光回線プロバイダ契約
⇒クーリング・オフ出来ない
・電気通信サービスはクーリング・オフ制度の対象外
・契約の内容に関する書面交付義務がないため、契約者が正確な契約内容を確認することができないためトラブルになる
・契約期間には2年間や3年間の縛りがある場合が多く、中途解約すると違約金が発生する場合が多い
4. カタログショッピングやテレビショッピングなどの通信販売
⇒クーリング・オフ出来ない
・通信販売はクーリング・オフ制度の対象外
・返品については、事業者が独自で決められる返品ルールがある
・広告に返品ルールの表示がない場合は商品を受け取った日から8日を過ぎるまでの間に返品することができる。
・契約をする時には、必ず返品について確認しておくこと
・返品が可能な場合も返品時の送料は消費者の負担
(クーリング・オフ制度の適用があれば、返品費用は業者の負担)
世羅町民生委員児童委員協議会会長の大前博文さんが「皆様方は、もとより経験豊かな上にも、職務に関わる研修を受け、さらに知識を高め、地域住民から信頼され、なくてはならない存在になってください。」と挨拶をされました。その言葉通り、参加者の方々は熱心に学ばれていました。今回の研修内容を高齢者等の見守りに活かし、地域の中でなくてはならない存在になっていただけることと思います。