見守りの力で解決!高齢者の消費者トラブル
~実際にあった事例を紹介~ Vol.1
高齢者等の消費者被害では、本人が被害に気づいていない場合も多く、高齢者等の消費者被害を消費生活相談窓口につなげるためには、日頃から高齢者等に接していらっしゃる方の協力が必要です。
実際に福祉関係の方が被害に気づき、広島市消費生活センターへ相談したことによって、高齢者等の消費者被害を解決できた事例を紹介します。
(平成28年3月15日「高齢者等見守り研修」にて、講師の広島市消費生活センター消費生活相談員、寺本ひとみさんより紹介された事例です)
事例① 福祉利用者が携帯電話の機種変更のため店舗に出向いたところ、体組成計1台とデジタルフォトフレーム3台の契約をさせられた。本人は理解していない。
[相談者] 福祉関係の方(Bさん)
[契約者] 50代 女性
[商品名] 携帯電話サービス、体組成計、フォトフレーム
[相談内容] 福祉サービス利用者が携帯電話の機種変更のために大手家電量販店に入っている業者と契約した。機種変更だけのつもりで行ったのに、体組成計1台とデジタルフォトフレーム3台を契約させられ、10数万円のレシートを持ち帰って来た。本人に尋ねても、「どうしてこれらの商品があるのか分からない、覚えていない」と言う。説明は受けたようだが、理解するまでには至っていない。療育手帳は本人確認のため業者に見せたとのこと。フォトフレーム1台は開封しているが、他の商品は未開封。本人には必要ないので携帯電話以外は解約できるか。
[解決結果]
・契約書面、療育手帳のコピーをFAX送信依頼。
・センターから業者に電話をかけ事情説明。業者からは、調査し担当者からセンターに連絡させるとのこと。
・後日、業者担当者より、「本人は契約について勧められると或いは質問に対し『はいはい』と答える傾向があるか。また、時間が経つと、どうして契約したのだろうと疑問に思う方か」と問われた。
・Bさんに確認し、「本人は判断能力・理解能力が低い方。『はいはい』と返事をしても家に帰ると、どうしてここに商品があるのだろうと思う方である」と業者に伝えた。
・その後、業者より、「一旦解除料を払ってもらい、同額を毎月の利用料の中で減額する」と回答があった。
・郵送で解約用紙を送り、機器を着払いで返却した。 (Bさんが手伝ってくれた)
・翌月利用料請求で解除料同額を減額し、割賦代金残金一括も同額減額された。
Bさんが「気づき」、「相談窓口につないだ」こと、また、相談過程でもBさんの助けがあったからこそ解決できた事例です。
高齢者等、特に判断能力・理解能力が衰えている方の場合には、身近な方の協力がなければ消費者被害に気づくことも解決することも難しいのです。高齢者等に身近な皆様には、普段の暮らしの中で交流をはかり、様子を気にかけてあげてください。