県内の活動紹介 〜地域や関係者の取組〜
ヘルパーの気づきから消費者被害を防いだ事例
安佐南区の「広島医療生活協同組合ヘルパーステーション虹」のサービス提供責任者(介護福祉士)の西村桂子さんに、ヘルパーの気づきとケアマネジャーの対応によって、利用者の方の消費者被害を防いだ事例を伺いました。
ヘルパーは、高齢者にとても身近な存在です。利用者の家を定期的に訪問し、家の中でサービスを行うため、利用者の方も気を許しやすく、色々な話をされます。
話をする際にヘルパーが心掛けていることは、利用者の方の話を否定しない、自分の思いを押しつけず、傾聴するということです。
消費者被害について、ヘルパーの役割は情報収集だと思っています。
「ヘルパーステーション虹」では、ヘルパーが何かおかしいと感じた時には、すぐに事務所に連絡し、ケアマネジャーに対応してもらうようにしています。そうした情報提供のルートを作っています。今回紹介する事例で消費者被害の防止ができたのは、ヘルパーの気づきを活かせる体制があったからだと思います。
◆不審な「布団の打ち直し業者」との契約を未然に防いだ事例
利用者 : 80代男性・独居・要支援2
ヘルパーが、利用者の自宅を訪問した際に、玄関で利用者と業者が立ち話をしていた。
業者はヘルパーを見ると、話を中断し「また昼から伺いますね」とすぐに出て行った。
その時の業者の様子が気になったので、利用者から話を聞くと、布団の打ち直しを勧められていたようだ。
業者からは、
・「わざわざ大阪から来ている」
・「ちょうどこの辺をまわっている」
・「今なら安くできる」
・「いいものですよ」
などと勧められていて、利用者はすっかり契約をする気になっていた。
業者の態度や話の内容から、「何だかおかしい」と感じたヘルパーは、事務所に連絡。事務所は地域包括支援センターに連絡をし、担当のケアマネジャーがすぐに利用者の家を訪問し話を聞いた。
契約をする気になっていた利用者だったが、「大阪からなんておかしいね~」「自分から頼んでいないセールスは心配」「もし、契約するならご家族と一緒に契約してください」などといったケアマネジャーの話に納得し、契約をしなかった。
打ち直し代の金額は聞いていなかったが、おそらく高額であったと思われる。
◆被害を防ぐことができたポイント
・ヘルパーが、おかしいと感じたことをすぐに事務所に報告したこと
・ケアマネジャーがすぐに対処したこと
・ヘルパー、ケアマネジャーと利用者との信頼関係ができていたこと
・ヘルパー、ケアマネジャー、介護事務所、地域包括支援センター、家族との連携ができていたこと
ヘルパーの小さな気づきが被害の未然防止に繋がった事例です。
西村さんは、「ヘルパーの方は利用者と、1対1で接することが多いため、責任の重さを感じています。自分が何をしなければいけないのかと常に考えています。」とおっしゃられていました。こうした気持ちが気づきに繋がっているのでしょう。
高齢者は被害にあっても誰にも相談しなかったり、被害にあったことに気づいていない場合もあります。高齢者と定期的に接しているヘルパーの方の気づきが被害の未然防止や拡大防止につながります。高齢者の様子や家の中の様子など、少しでもおかしいと感じたことは、事務所に報告、相談しましょう。被害防止の第一歩になります。