県内の活動紹介 〜地域や関係者の取組〜
「高齢者等の消費者被害防止対策講座」が開催されました
広島市消費生活センターでは、高齢者等の消費者被害の未然防止・拡大防止を図るために、地域包括支援センター職員及び民生委員に対する講座を実施しています。
10月21日、西区地域福祉センターにて、「高齢者等の消費者被害防止対策講座」が開催され、西区の地域包括支援センターの職員の方、約25名が参加されました。
◆広島市消費生活センター 次長 面田尚志さんのお話
広島市消費生活センターに寄せられた全相談件数のうち60歳以上の方からの相談の占める割合は年々増加し、4割を超えました。また、1件当たりの被害額も増加傾向にあります。
高齢者は被害に遭ったことに気づきにくい、被害に遭っても誰にも相談しない等、自分で被害を防ぐことが難しいため、消費者被害の防止や救済のためには、日頃から高齢者の見守り活動を行っている地域包括支援センターや民生委員の方の協力が必要です。
見守り活動の中での気づきを相談につなげるために、以下の取組にご協力をお願いします。
☆家に段ボール箱が複数届いている、知らない人が出入りしているなど、異変が生じていることに気づいたら、ご本人に声掛けをして、何か困っていることがないかを聞いてください。
☆消費者被害が疑われる場合は、同様な事例を紹介するなどして注意を促してみてください。ご本人に被害を受けている認識がない場合があります。
この段階で、ご本人への説明が難しい場合は、当消費生活センターからご本人に事情をお聞きして必要な情報を提供することもできますので、必ずご本人の同意を得たうえで、当消費生活センターに連絡して取り次いでいただくようお願いいたします。
☆消費者被害を受けている事実を確認したら、消費生活センターに相談するようご本人にお勧めください。その場合、契約者であるご本人が相談する必要がありますので、ご本人の意思を尊重してください。
☆認知症であるなどご本人から相談するのが難しい場合もありますので、家族の方や民生委員など支援者からの相談も受付けています。
◆消費生活相談員 佐々木雪子さんの講座
最近の傾向として、悪質業者の手口は悪質化しています。証拠を全く残さない業者もあり、一度お金を払ってしまうと取り戻すことは難しくなっています。
高齢者等の消費者被害の未然防止のためには、周りの方の見守りが何よりも必要です。異変に気づいた場合は、声掛けをしていただいて、消費生活センターにつなげるようお願いします。
◇DVD鑑賞 『高めよう!「見守り力」』(消費者庁)
★異変に気づいて!
・家の中や周囲、業者の気配、購入商品に注意しましょう。
・お金に関する様子を観察してみましょう。
・生活の変化に注意しましょう。
★異変に気づいたら声かけを!
・上から目線ではなく、自分や周囲の人の体験談を語るなど話しやすい環境を作ったり、消費生活センターや警察からの情報などを示して冷静に考える機会をつくるのも有効な方法です。
・騙されていると決めつけて話をすると心を閉ざされてしまう事もあります。
・信頼関係を築きながら話す事が大切です。
◇広島市の相談事例
講師の佐々木雪子さんは、3月まで、広島市消費生活センターで相談業務に携わっておられ、実際に相談を受けた事例等を紹介されました。
★買え買え詐欺(劇場型勧誘)
「以前投資で失ったお金を取り返すことができる。」と電話がかかってきて、取り戻すためには、他社の社債を買うのが条件、と再度大金をだまし取られた事例
(アドバイス)
・電話におびえていたり、考え込んでいるなど、いつもと様子が違うときなどは、トラブルに巻き込まれている恐れがあります。様子の変化に気づいたら、まずは声をかけてみてください。
★点検商法(床下工事)
排水管の高圧洗浄をした後、床下を点検、不安をあおられて床下換気扇工事の契約をさせられた事例
(アドバイス)
・点検商法では、床下工事の他に、水道水・布団・シロアリ・外壁・屋根等の点検と称して訪問し、高額な商品やサービスを契約させるケースが多くみられます。
・見慣れない人がたびたび出入りしていたら要注意です。変わったことがないか、声をかけてみてください。
・住宅リフォームに関する相談では、複数業者から見積もりを取ったり、(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」の利用も検討してみてください。実際の見積書をFAXすると、内容をチェックしてもらえるサービスもあります。
住まいるダイヤル 電話相談窓口:0570-016-100
・ 訪問販売での契約はクーリング・オフが可能。工事が完了していても契約日を含む8日間以内ならOK。
★電話勧誘(光回線を使ったテレビ放送受信)
「電話代が安くなる、工事費は無料」と光回線の工事を勧められ契約した事例
(アドバイス)
・一つの工事代は無料であっても別の工事にお金がかかる場合、前の契約の解約に伴う違約金、NHKの衛星契約料金が必要など、必ずしも費用が安くなるとは限りません。本当に必要な契約かどうか良く考えて契約してください。
高齢者の異変に気づくためにも、今回のような講座を受講するなど、より多くの情報を得る機会を作っていただき、また、様子の変化に気づいた時は消費生活相談窓口につなげていただきたいと思います。
高齢者の見守り活動を行っている地域包括支援センターや民生委員の方々と消費者被害について専門的な知識と経験を持つ消費生活センターが、これまで以上に連携し協力していくことによって、高齢者の消費者被害の未然防止、被害の救済がすすんでいくことを期待します。