県内の活動紹介 〜地域や関係者の取組〜
東広島市で消費者啓発講演会が開催されました
2月14日、東広島芸術文化ホールくららで消費者啓発講演会「悪質商法の対処法~未然防止は見守りと気づきから~」が行われ、民生委員児童委員、見守り協力員、自治会、社会福祉関係者等、約130名の方が参加され、消費者被害の事例、見守り活動の流れ、関係機関との連携等について学ばれました。
◆◇消費者啓発講演会◇◆
「悪質商法の対処法~未然防止は見守りと気づきから~」
◆講演①「悪質商法の現状と対策」
講師 広島修道大学商学部 教授 柏木信一さん
★「自分を考えてみましょう」チェックシート
・「頼まれたら断れない、お人好しな方だ」「自信過剰な所がある」等、11項目の質問に答える。
当てはまるものが、5個以上の人は、カモにされやすく要注意である。また、0個の人も危ない。自信過剰であるか、自分の脆さに気づいていない人である。
・悪質商法には誰でも騙される。決して他人事ではないこと、自分の脆さを自覚して警戒することが大切。車の運転と同じで「~だろう」ではなく、「~かもしれない」と常に警戒する。
★啓発と予防
☆被害防止の鉄則「弱気と慢心は最大の敵!」
①はっきり断らないのは弱気!
②相談せずに、全て自分の中に背負い込むのも弱気!
③泣き寝入りしてしまうのも弱気!
④「絶対…だ、自分に限って…だ」と思うのは慢心!
⑤相手の出方や契約書に注意しないのも慢心!
⑥相手をどついたり言いくるめようと思うのも慢心!
☆この鉄則を踏まえて実行すること
・「事前」と「事後」も、まず相談!
・ハッキリ断る「要りません」「お断りします」「帰ってください」!
・相談するのも勇気!
・腑に落ちないこと、自身で判らないものは安請け合いしない!
・皆で防ぐ、呼びかける、連携する!
★悪質商法の事例
訪問販売、キャッチセールス、催眠商法、マルチ商法等の事例を紹介。
・「こんな時は何て答える?」と、会場の方々に「要りません」「お断りします」「帰ってください」と大きな声で言ってみるよう促す。
・詐欺師にとって一番嫌なことは、相手にされないこと。相手にしてしまうとつけ入られるので、関わらないのが安全!
・消費者を守る法律はひとつではない。腑に落ちない、契約をキャンセルしたいと思った時は相談すること。消費生活センターは無料。お金をとるところは要注意。
◆事例発表
「特殊詐欺防止を呼び掛けるハンカチ配布などの取組について」
板城小学校区住民自治協議会
事務局長 田口康典さん
防犯・防災部会長 宮永勝さん
緊急時の連絡先と「電話でのお金要求は詐欺」「すぐに振り込まないで相談しましょう」等の特殊詐欺防止文を入れたピンクのハンカチ(20㎝×20㎝)を550枚作成し、自治区域の高齢者に配布。不審な電話がかかっても詐欺だと気づいてもらい、相談できるように電話機の近くに置いてもらう。一度作って終わりではなく、ピンクのハンカチをバージョンアップさせていくこと、関係組織・団体にハンカチ運動を拡散、拡大していくことを今後の課題としている。
その他にも、敬老会で特殊詐欺防止の寸劇を行った。評判も良く、今後は寸劇団を編成し市内の敬老会や老人ホームの慰問なども検討中。
◆講演② 「地域協力と見守り活動」
講師 東広島市消費生活センター 消費生活相談員 渡部稔子さん
★東広島市消費生活センターの平成27年度の相談件数は1209件あり、そのうちの約2割が70歳以上の高齢者からの相談である。
消費者被害に遭わないためには、「うまい話を信用しない」「きっぱり断る」「誰かに相談する」ことが大切。ただ、判断力が衰えている高齢者には難しい。
また、悪質業者は周到な準備をした騙しのプロである。一人一人が注意をするだけでは、被害をくい止められない。
消費者被害の防止、救済のためには、地域のサポートや周りの方々の見守りが必要である。
★見守り活動の流れ
気づき
地域の方、福祉関係の方がいつも様子を気にかける。
↓
声かけ(本人に事実確認)
↓
つなぐ
「おかしいな」「へんだな」と思ったら、本人からでなくてもいいので、相談をして欲しい。
【相談先】
・消費生活センター
・関係機関(地域包括支援センター・社会福祉協議会等)
★消費者トラブルに巻き込まれない地域とは
・コミュニケーションがしっかりしている地域
・しつこい業者対策ができている地域(一人で業者に対応せず、複数で対応する等)
・悪質な電話勧誘対策ができている地域
・消費生活に関する知識のある地域
このようなネットワークのある地域には、悪質業者が入りにくい。
高齢者等の消費者被害の未然防止・問題解決のためには、地域のネットワークが大切です。事例発表をされた板城小学校区住民自治協議会のように、地域全体で高齢者等を見守っていくことが出来れば、悪質業者に付け入る隙を与えないのではないでしょうか。
今回のような講演会を通して、日頃から高齢者等と接している方々に見守りの大切さ、関連機関との連携の大切さを再認識していただき、日々の交流や、日常業務の中に「消費者被害防止」の視点を加えていただければと思います。