県内の活動紹介 〜地域や関係者の取組〜
呉市消費生活センター・呉市中央地域包括支援センター 合同研修会
「地域の消費者被害をなくすためには」が開催されました
平成28年1月15日、すこやかセンターくれで、呉市消費生活センターと呉市中央地域包括支援センターとの共催による合同研修会が行われました。今回の合同研修会では、地域において高齢者と日常的に接する機会の多い介護支援専門員や民生委員児童委員、訪問介護事業所職員、呉市社会福祉協議会、呉市介護保険課、地域相談センター職員等、約75名が参加され、消費者被害の事例や、消費者被害の発見から相談窓口への通報や連携方法について学ばれました。
◆◇「高齢者の消費生活被害の実態とその対応について」◇◆
講師 呉市消費生活センター 消費生活相談員 石橋奉功さん
◆消費者被害を防ぐには
(1)事例を知ろう
『劇場型買え買え詐欺』
複数の人物からだましの電話がかかってくる。
相手はだましのプロ、誰でもだまされてしまう。
【最近多い手口】
・マイナンバー制度の悪用詐欺
・還付金詐欺
・オレオレ詐欺
・個人情報を削除します詐欺
・あなたの預金が危ない、引き出して詐欺
『光回線』
・「電話とテレビの線を、まとめましょう」
・「今のアナログ回線、使えなくなりますよ」
・「安くなります。キャッシュバックします」
このような勧誘には気をつけて!
『無料のアダルトサイトで料金請求』
よくある相談なので、恥ずかしがらずに相談を。
(2)クーリング・オフについて学ぼう
不意打ち的に勧誘されるような取引に限り一定期間であれば、契約を無条件で解約できる制度。訪問販売や電話勧誘販売の場合は、書面を受け取った日から8日間。
(3)断る力を身につけよう
「いりません」ときっぱりと断ることが大切。
(4)怪しい電話対策をしよう
・いつも留守電にしておく。
・電話番号を変えて、電話帳に載せない。
◆地域で連携して見守る連携の力
高齢者がトラブルに巻き込まれた場合は、少しでも早く専門の相談員につなぐことが大切。日ごろから高齢者と交流をはかり、信頼関係を作っておくことで、高齢者のささいな変化に気づくことができ、また、声をかけたときに高齢者もより相談がしやすくなる。
[気づく] 次のような様子が見られたら消費者トラブルに巻き込まれているおそれがある。
・見知らぬ業者の出入り
・ひんぱんに金融機関に通っている
・慌ててお金をおろしている
・何かに困って言い出せない様子
・カレンダーに不審な印
・しつこい電話をうまく切れず困っている
[声かけ] 声かけには、十分な配慮が必要。高齢者の意思を尊重しながら、ゆっくり話を聞く。
・「どうされましたか」
・「変わったことはないですか」
・「私の家にも電話があったのですよ」
・「電話が沢山かかってきて困ってませんか」
[つなぐ] 被害にあっている人を相談機関につなぐ。
本人が電話をしたがらない場合は、本人の隣で電話をする。
消費生活センターは万能ではないが、一緒に解決方法を探していく。
今後の被害防止のためにも相談を。
◆◇グループワーク「私たちのできる事」◇◆
講演後、地域別に分かれてグループワークが行われました。高齢者の消費者被害について知りたいこと、心配なこと、上手く対応できた事例等、活発に意見交換が行われました。それぞれの立場から意見を出し合い、情報交換の場ともなりました。
[こんな意見が交わされていました]
・「郵便物を一緒に見ると消費者被害を発見しやすいと思う」という発言から、
「郵便物の中身を見るほどの人間関係を作ることは難しい」
「依存との境界が難しい」等、様々な意見がありました。
信頼関係を築くことの難しさを抱えている方が多くいるようでした。
・「認知症で、本人に被害の自覚がない場合はどうしたらいいのか」という質問に、消費生活相談員からは、「支払能力を超えている場合には、本人、家族に確認して対応する。相手の業者に認知症であることを伝えることは、その後狙われる可能性もあるためケースバイケースで対応しなければならない」との回答がありました。
地域の高齢者と関わる様々な立場の方が一堂に会する形の研修会は、今回が初めての取組ですが、今後も毎年開催する予定です。
今回の研修会は、高齢者に関わる多くの福祉関係の方々に加え、呉警察署、弁護士等も参加し、地域全体で高齢者等を見守るネットワーク作りの第一歩となりました。
このネットワークが充実し、高齢者等が安心して暮らし続けられる地域となることを期待します。