日本消費経済新聞・2026年頭所感
特定非営利活動法人消費者ネット広島 理事長 木村 豊
生成AIに聞く消費者被害
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
今から5年ほど前、「2045年問題」というのが話題となりました。
「シンギュラリティ(Singularity)」、正確には「テクノロジカル・シンギュラリティ(Technological Singularity)」は「技術的特異点」と訳されますが、AI技術の指数関数的な進化により、人類の生物学的な思考速度が限界を超えることをいうのだそうです。これが「AIが人類全体の頭脳を追い越すとき」とやや訛伝されて伝わり、その時期が2045年ころに到来すると予測されることから、そのときには何が起きるのかといったような議論が「2045年問題」といわれるものでした。
ところが、今日のAI技術の進歩は予想をはるかに上回るものがあり、生成AIなどは日進月歩の進み方で、今から20年後のAI技術を予測することなど不可能という議論も行われる状況となっています。
試みに、生成AIに「生成AIの発展が消費者被害を生み出すことはないか」と聞いてみましたところ、次のとおりの回答でした。
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生成AIの発展は消費者被害を生み出す可能性があります。以下のような懸念が挙げられます。
1 ディープフェイクや偽情報
AI技術を使用すれば、高度な偽情報や映像を容易に作成できるため、消費者も騙される可能性が増します。
2 マルウェアの生成
AIを用いたハッキングにより、悪性のソフトウェアや不正アクセスが容易になるリスクがあります。
3 カスタムな詐欺生成
AIはデータに基づいてターゲットに最適な詐欺プランを生成できるため、個別対応の詐欺が発生するでしょう。
これらの課題に対して、ディープフェイク対策のAI開発、啓発キャンペーンの実施、安全ガイドラインの策定など適切な対策を講じる必要があります。
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いかがでしょうか。今後ますますAI技術が進歩していく中で、これからどんな時代になったとしても、私たちが目指す消費者の権利を確立し、消費者の利益を擁護するためにはどのような活動をしていけばよいのか、改めてじっくりと考える必要もあると思います。
関係各位のご支援とご協力の下に、当法人は今後も確実な歩みを続けてまいりたいと存じますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。